徐狼三國志
この話はフィクションであり
実際の三國志とは何の関連もありません。
第七話 荊州政務
曹操はそわそわしていた。
(ううむ、徐庶は何をしているのだ。
あまりにも遅いではないか・・・。
まさか!私を裏切ったのでは!
いやいや、劉曄のいっていた事は確かだ・・・。
しかし、いや、ううむ・・・)
「丞相閣下!徐庶が帰ってきました!」
「おおっ!そうか!」
と、いって、曹操は飛び跳ねるように報を聞きに行ったのである。
「ただいま戻りました。」
「徐庶よ、遅かったではないか!で、どうだった!」
「ここまで遅くなったのは、
劉備を時間をかけて説得する為でありました・・・。
が、劉備の意志はかたく、説得できませんでした・・・。」
「そうか、それならば、軍事力でねじ伏せるのみだ。」
「!!」
徐庶は驚いた。
徐庶は、まだ、荊州は完全に曹操の支配に入ったわけでなく、
地盤を固める必要が曹操側にはあり、兵を出す事はできないので、
その間に劉備一行を逃がせることができると考えていたのである。
(曹操はこんなに力任せなやつだったのか!?
それとも、もう、荊州に対しての政務は終わってしまったのか!?)
と、徐庶が焦っていると、
「が、荊州の地盤が固まるまで、こちらは動けないな・・・。
口惜しい事だ・・・。」
と、曹操は嘆いた。
(なんだ、脅かさないでくれ・・・。)
と、徐庶は思うのだった。
ある日、曹操のもとに、蔡瑁と張允がやってきた。
「そなたらに聞くが、荊州の軍備、兵糧の状況はどうなっている?」
と、曹操が聞くと、蔡瑁らは事細かにいった。
曹操は、その話しを聞いて満足したらしく、
「よし、蔡瑁、そなたを水軍大都督に任命する。
張允は水軍副都督に任命する。」
と、いった。蔡瑁らは、
「ははっ、このご恩は戦場で必ずや、返しましょう!!」
と、いった。
「劉jを必ずや王に封じるであろう、その旨を伝えておけ!」
「ははっ!」
蔡瑁らは、席を外した。
「丞相閣下!!」
と、声が響いた。声の主は荀攸であった。
「どうした、荀攸よ。」
と、曹操は聞いた。
「なぜ、あのようなものを重要な任務に任命したのですか!?」
「私たちは、水戦をやった事はない。
これでは、対呉戦まで考えた時に、どうしても不利になる。
だから、水戦の経験のあるあいつらを任命するほかはなかったのだ。」
「そうだったのですか・・・。」
と、いって、荀攸は下がった。
徐庶は、
(おそらく、彼らをこういう重要な任務につかせたのは、
もう一つ、地盤をはやく固めるには、彼らが必要であり、
荊州内から地盤を固めたかったからではないのか?
そこまで、考えていたのなら、曹操という人物が心底恐ろしくなる。)
と、感心しつつも、曹操の判断のよさに恐ろしさを覚えたのであった・・・。
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