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徐狼三國志

この話はフィクションであり
実際の三國志とは何の関連もありません。



第十五話 情報戦線

曹軍は呉軍に数では圧倒していたが、水戦に優れた人物が呉ほどいなかった。
荊州水軍と呉水軍では力に差があったし、
曹陣営には水軍を率いた人物がもともといないのだ。
そしてなにより、地理に詳しい人物がいなかった。
さまざまな要因が重なり、曹操自身の目が曇ってしまったことが、
この戦いの勝敗を決めた大きな要因となっていることは間違い無かった。

曹操は蔡瑁と張允を呼んだ。
「蔡瑁、おまえを水軍大都督に任命する。
 荊州水軍を率いて呉軍を打ち破るがよい。」
「ははっ!!この御恩、かならずや戦いの場で報いてみせます。」
「張允よ、おまえを水軍副都督に任命する。
 大都督をよく補佐し、曹陣営に勝利をもたらすがよい。」
「はっ!!水軍大都督殿とかならずや呉軍を打ち破ってみせます。」
「二人は今から戦の用意をし、明日、呉軍と一戦交えよ。
 呉軍の力をはかってくるがよい。」
「ははっ!!」
二人は威勢良く言った。
それもそのはずで、二人にとっては魏での地位を確立するための重要な任務だったである。
曹軍の軍議は簡単に終わった。
各将が群議の場から出て行く中、張遼は曹操に呼び止められた。
「丞相、いかがしましたか?」
「張遼よ、おまえは明日軍兵に紛れ込んで、呉軍の力を見定めてきてくれ。」
「しかし、その命は・・・。」
張遼が不思議そうにいった。
「わかっておる、蔡瑁と張允にしたはずだといいたいのだろう?
 しかしな、戦いに勝つとしても負けるとしても、
 その判断に私情が入るのはどうしようもないことだ。
 そこでだ、戦いに参加しないおまえの目で客観的に見定めてもらいたいわけだ。」
曹操が静かに言った。
「そういう御判断でしたか・・・この任立派に果たしてみせます。」
張遼はもやもやとしたものが晴れたかのようにきりっとしていった。
「たのんだぞ。」
こうして、張遼と曹操の会談は終わったのである。

一方、徐庶は陳封を呼んでいた。
「何でしょうか?」
「実はな、おまえには呉のほうに偵察に行ってほしいのだ。
 私はあっちの陣営とあわせた行動を取らないといけないのだが、
 そう軍のほうにちゃんとした情報が入ってくるとも限らん・・・。
 おまえに正しい情報を持ってきてほしいのだ。やってくれるか?」
徐庶が陳封の意向を聞くと、
「もちろんです。具体的にはどうしましょう?」
陳封はこう答えた。
「明日、曹軍と呉軍が対峙する。
 おまえは今日のうちに誰にも悟られないように船着場をつくっておいてくれ。
 そして、明日、曹軍の船に乗るんだ。」
「そして、戦いの中、呉軍に紛れ込み、ご陣営にいけとおっしゃるのですね。」
「そうだ、その後、誰にも見つからないように船着場を作れ。
 そして、これからはそこを行き来して両方の陣営に紛れ込み、偵察するんだ。」
「・・・うまくいくでしょうか?」
陳封が不安げに聞いた。
「いくもいかないもおまえ次第だ。くれぐれも気をつけてな・・・。」
「わかりました、かならずやこの任を果たしてみせます。」
「頼んだぞ・・・。」
そして、徐庶と陳封はしばしの別れを告げた。
徐庶自身はこの後陣営を離れて、近くの村に行ったのである。


徐庶は地元の漁師と話していた。
「この付近の気候についてしりたいのですが・・・。」
「この付近ですか?今の時期は霧が多いでっせ。」
「霧が多いのですか?」
「ああ、明日も多分霧だろうなぁ・・・。」
「どのくらいの深さになるんでしょう?」
「う〜ん、わからねぇ・・・。ただ、そんなに遠くは見渡せないぜ。」
「そうか・・・わからないか・・・。
 そうだ、あと、ここには風土病っていうのはありますか?」
「ああ・・・あるとも・・・。厄介なのがな・・・。」
「どういう病気でしょう?」
「ここの付近に水には得体の知れないものがいてな・・・、
 体の中に入ってきていろいろの症状を起こすんだ・・・。」
「どんな症状でしょう?」
「吐き気や赤痢をするんだ、そして腹に水がたまって、
 最後には死ぬんだ・・・。」
「それはひどい・・・。
 病を治す方法は?」
「残念だが、おれはしらねぇ・・・。
 他のみんなも知らないよ・・・華佗老師もどうしようもなかったんだ・・・。」
「華佗老師も!?あの華佗老師がか!?」
徐庶は驚きを隠せないようだった。
「ああ・・・原因までは突き止めたがな・・・。」
「・・・では、病を防ぐ方法は?」
「ああ、水を使うときは一度沸騰させれば問題ねぇ。」
「そうですか、ありがとうございました。」
「・・・そうだった!!
 ホウ統という人物を知りませんか?」
徐庶が思いついたように聞いた。
「・・・聞いたことねぇな・・・。」
「そうですか。ありがとうございました。」
この後も、徐庶は地元の人と話をした。

その夜、徐庶の元に程cが訪れた。
「徐庶よ・・・この戦いどうなると思う?」
程cは不安げに答えた。
「それはまた難しい質問を・・・。」
徐庶が困った顔をしていった。
「私は何か胸騒ぎがしてならないのだ・・・。」
「そうか・・・はっきりとした答えは出せないが・・・。」
「が?」
「我々の軍で有利なものはただ一つ、兵の多さだけだ・・・。
 その兵の多さで、どのくらいの不利をおおいかぶせるかは、
 明日の戦いを見るしかないだろうな・・・。」
「やはりその答えか・・・みんな同じ事を言うものだな・・・。」
程cはうつむいていった。
「仕方ないさ、我々はあまりにも知らなさ過ぎるからな・・・。」
「そうだな・・・丞相のそこを悔やんでおられるようだ。
 何かいい手は無いものだろうか・・・。
「誰かを埋伏させるしかありますまい。」
「つまり情報を得ろということか。」
「そうだ、情報ほど大切なものは無い。
 情報が戦を大きく動かしてしまうこともあるからな。」
「しかし、うまくいくだろうか・・・。」
「やらないことにはどうしようもないさ。
 あとは埋伏の将の巧みな技にかけるしかあるまい。」
「そうだな。」
程cはとりあえず納得した様子だった。
「ともあれ、明日の戦いを見守らねば・・・。」
明日の戦いがすさまじい結果に終わろうとは、
曹陣営はもとより、徐庶も想像すらしなかったであろう・・・。




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