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徐狼三國志

この話はフィクションであり
実際の三國志とは何の関連もありません。



第十四話 時が動くとき・・・

ホウ統は徐庶、諸葛亮が勉学を同じくした一人である。
ホウ統が劉備の下につけば、水鏡先生のいったことがいよいよ現実となる・・・。
徐庶はそう思ったのである。
その言葉とは、よく知られているとおり、
「臥龍、鳳雛、どちらかを得ば、天下足る。」
である。劉備はすでに臥龍を得ている。
これで、天下が自分の手に治まるといっているわけだが、
鳳雛もえれば、これ以上確実なものはない。
徐庶はそう思ったわけだが・・・。
しかし、徐庶はその所在を知らないのである。
このあたりにいるという話を聞いたことがあるだけであって、
当てがあるわけでもなく、ただただ、話を聞きまわっていたのである。
「うーむ、困った・・・、これでは埒があかん。
 ホウ統は姿を隠すのがうまかったからなぁ。むぅ・・・。」
こんな事している間にも、曹操は着々と準備を進めるだろう。
ここは自分で乗り切るしかないのか・・・。
徐庶はホウ統探しをあきらめることにした。
これが後の戦いの行方を決めてしまったのかもしれない。
天命とは計り知れないものだ。


さて、徐庶がこんなことをしている間、呉では開戦派と降伏派が対立していた。
そこに、徐庶が願っていたことであるが、諸葛亮が現れ、
さらに、周瑜まで現れたので、話が進まなくなっていた。
そんな折に、諸葛亮と周瑜、ニ賢の舌戦があったのは皆さんの知るところである。
諸葛亮は、周瑜が動くには時間がかかるだろうと予想していたのだが・・・。
その夜のことである。
一人の人物が周瑜のもとに訪れた。
「徐庶様の使者がお見えです。どうなさいますか?」
この声の持ち主は、周瑜の妻、小喬である。
「徐庶だと?ばかな・・・、徐庶は曹操のもとに行ったはず・・・。
 どういうことだ?」
「では、かえしましょうか?」
「・・・いや、会おう。ここに通してくれ。」
「客間ではないのですか?」
「こんな夜中に訪れるということは、人目を恐れてのことに違いない。
 客間では話を聞かれる可能性のあるからな。」
「わかりました。」
しばらくして、徐庶の使者と名乗るものが現れた。
「周瑜様、お会いできまして光栄です。」
「こんな夜中に現れたんだ。それ相当の土産はあるんだろうな。」
「あなた様の口に合うかどうかわかりませんが、ひとつ持ってきました。」
「ほう、なんだ?」
「徐庶様は呉の開戦を望んでおられます。
 呉が開戦したときには、徐庶様も内から崩すように努力するとの事です。」
「具体的には?」
「そちらの策略に引っかかりやすくなるようにしたり、
 曹操陣営の内情を教えるとの事です。」
「そうか・・・しかし、そんなことで呉は魏に勝てるのかな?」
「勝てると徐庶様はおっしゃっています。」
「ようするに、徐庶は劉備と手を組めといっているのだろう?」
「・・・・・・。」
「まったく食えない男だ。曹操についてもなお劉備に未練を持つか。」
「恐れながら申し上げます。
 徐庶様は曹操が天下を治めては、世が乱れると考えておられます。」
「ふっ、わかった。そういうことにしておこう。
 そうか、徐庶はこの戦い、勝算があるといっておるのか。
 それならば、それにのるとしよう。
 決定に時間をかけすぎては、勝てる戦も勝てなくなるからな。」
「ありがとうございます。」
「・・・名をなんという・・・。」
「陳封と申します。」
「陳封よ、このあとどうするつもりかな?」
「・・・徐庶様のもとにかえり、及ばずながらもお手伝いをするつもりです。」
「・・・そうか、それがよかろう。
 陳封よ、よい土産であったぞ。」
「ありがとうございます。」
こう言って、陳封は帰っていった。
周瑜がふう、とため息をついたときに小喬が入ってきた。
「よろしいのですか?」
「ん?私はもともと曹操に降伏するつもりはないのだ。
 だが、時が動き始めたのかを確かめたかったのだ。
 だから、開戦とも降伏とも言わなかった。
 そして、たったいま時が動き始めたことを感じた。
 それを逃しては時が逃げていったしまう。
 だから、開戦すると答えたのだ。徐庶が準備しやすくするためにな・・・。」
「しかし・・・徐庶の使者が偽りの使者だったとしたら・・・。」
「そうだとしても、早々が送った使者ではないことは確かだ。」
「なぜでしょう?」
「曹操は降伏を望んでおるのだ。
 そんなやつが開戦しろというはずがない。
 次に考えられるのが曹操が天下をとることを望まない人物だ。
 この場合は、曹操陣営から裏切り者が出る可能性が大だ。
 最後に功をあせっているものだ。
 この場合、おそらく元劉表陣営のやつらだ。
 功をあせっているものなど、曹操軍の足並みを崩す要因になりかねない。
 結局、どれをとっても、この使者はこちらに有益なものなのだ。」
「そうですね。」
「小喬よ、あす、孫権様のところにいく。
 支度を整えておいてくれ。」
「わかりました。」
こうして、夜が明けていったのである。

ニ、三日後、陳封が徐庶の元に戻ってきた。
「ただいま帰りました。」
「!?どうして戻ってきたのだ!?」
徐庶が驚いた顔で言った。
「は?」
「このまま玄徳様のところに行けばよかったものを・・・。」
「こころづかいありがとうございます。
 しかし、私は徐庶様についていくと決めました。
 足手まといになるかもしれませんが、徐庶様のお手伝いをするつもりです。」
「これからたいへんだぞ?」
「ええ、わかっております。」
「それでもいいのか?」
「ええ、いいんです。」
「・・・ありがとう。これからもよろしくたのむ。」
徐庶は涙を目に浮かべていった。
このことが徐庶の心の支えになったことは言うまでもないことだろう。


翌日、曹操の元に呉の開戦を通告する使者が訪れた。
「孫権め、降伏しなかったことを後悔させてやる。
 皆の者、天下を取る日は近い!!
 だれが、天下を手に収めるか、今こそ示そうぞ!!!」
「おおーっ。」
こうして、時は動き始めたのであった。




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