ゼークトハイマー城ミステリー殺人事件
(疑惑の章)
これはフィクションであり、まあ、原作とは何の関連もありません。
出会いたくなかった出来事が今、目の前におこっている。
「夢なら覚めてくれ!!」
おそらく、この場にいる全員がそう思っているだろう。
「ちょっとどいて・・・。」
こういって、みんなが集まるなかを分け入って死体のそばに来たのは藍菜であった。
「死因はおそらく即効性の毒ね。
毒の種類まではよく分からないけど・・・。」
こう静かに答えた。
「藍奈・・・。」
蘭が口を開いてこう呟いた。
「私の父は医者なの。それで、私も医者になりたくて・・・。
それで父に医学について教わってたから多少の事はわかるわ。」
藍奈は静かに言った。
「警察だ!!警察に連絡しろ!!!」
小五郎はこう叫んだ!!。
「は、はい!!」
大宮鉄也は警察に連絡を取りに行った。
「みなさん、この現場はこのまま残しておいて下さい。
証拠を隠されると困りますから・・・。」
小五郎は静かに言った。
「ど、どういうことですか・・・。」
金子拓也が恐る恐る言った。
「つまり、この中の誰かが犯人である可能性があるという事です。」
全員が息を飲んだ。
「だれだ・・・。」
金子拓也が小さく言った。
「誰が殺したんだ!!」
そのあと、金子拓也はこう叫んだのであった。
「冷静になって下さい。」
小五郎が言った。
「私は可能性があるといっただけです。
必ずしもこの中に犯人がいるわけではありません。
この城の中のどこかに隠れている可能性もあるという事です。」
「たいへんだ〜!!」
大宮鉄也がこう叫んで戻ってきた。
「電話がかからない!!電話線が切られているんだ!!」
「なんだと!!」
小五郎は声を上げた。
「ねぇ、他に伝達手段はないの?」
コナンが聞いた。
「他にはありません、あとは誰かが警察のところまで行くぐらいしか・・・。」
大宮鉄也はこう答えた。
「行くしかないだろう。」
小五郎は言った。
「誰かお願いできますか?」
小五郎が聞いた。
「私が行きましょう。」
斎藤孝司が言った。
「じゃあ、頼みます。では、みなさんも城門の方に行きましょう。」
小五郎が言った。
そして、一同は城門の方に向っていった。
全員が城門の方にいってる間、パーティー会場に残る人物がいた。
元直である。
元直は何かをずーっとメモしていた。
「ねぇ、なにしてるの?」
後ろで声がしたので、元直は驚いて後ろを振り向いた。
藍奈であった。
「なにしてるの?」
藍奈はもう一度聞いた。
「えーとね、証拠が消えてもいいように、現場の状況を詳しくメモしてるんだ。」
元直がこう答えた。
「へー。気が利くのね。」
藍奈が言った。
しばらくの間の静寂があった後、藍奈は口を開いた。
「ねぇ、私がどうして東京に引っ越してきたか知ってる?」
「えっ?」
元直が聞き返した。
「実はね、私ある人と付き合ってたんだ。
その人はね、好奇心旺盛でね、いろんなところに旅行してたんだよ。
その人は小さい時に両親を無くしてね、親戚の人に育てられてたんだけど、
高校になってからわね、下宿してたんだ・・・。」
「ふーん。」
元直は耳をかたむけながらペンを走らせていた。
「でね、その人、東京の方に旅行に行ったんだ。
でも、彼は帰ってこなかったのよ。
で、私何度も彼の携帯に連絡したんだけど、彼と連絡取れなかったのよ。
親戚の方も心配になって、警察に捜索を依頼したんだけど、行方不明のまま。
でね、私、東京ですみたいって、親に頼んだんだ。
私の親も渡しが彼と付き合っているのを知ってたし、
私の親もよく外国の方に行ってたから、東京の方に引っ越す事になったの。」
「へぇー。そうだったんだ。じゃあ、藍奈お姉ちゃん、
今でもそのことの事が好きなんだ。」
元直がペンを走らせながら言った。
「それからだったね。あなたが私の父親の手紙を持って私の家を訪ねてきたのは・・・。」
藍奈が静かに言った。
「そうなの?しらなかったなぁ〜。」
元直が言った。
「・・・あなたほんとに何者なの?
あなたの言動と彼の言動ってものすごく似てるのよ・・・。
私にはどうしても同一人物にしか見えないのよ・・・。
常識的に言ったら確かに変よ。子どもに戻っちゃった事になるんだからね。
でも、私の目にはそういう風に見えるのよ。
ねぇ、答えて、あなたは一体誰なの?」
藍奈が元直に言った。
元直はしばらく何も言わなかったが、ようやく口を開いた。
「そんなふうにいわれても、僕は伊達元直だよ?
それ以外にどうやって答えたらいいの?」
元直は言った。
「そうよねぇ・・・。答えようがないわよねぇ・・・。
変な事聞いてごめんね。私が行った事、忘れて。」
藍奈が言った。
「うん、わかった。忘れられたらね。」
元直が言った。
「私も城門の方に行くけど、書きおわったらあなたも行くのよ。」
「うん。」
藍奈は部屋を出ていった。
元直はそのままペンを走らせていたが、
やがてぽつりと言葉を漏らした。
「まずいな・・・。」