徐狼三國志
この話はフィクションであり
実際の三國志とは何の関連もありません。
第二話 夏侯惇という人物をけしかける徐軍師
予告どおり、徐庶は丞相府に訪れた。
その姿を見て、よろこんでいたのは、程cであった。
また、曹操もそのうちの一人であった。
別に色をなさなかったのは、荀イクである。
快く思わないのは、賈クであった。
いろいろなものが、このように反応を示したのである。
しかも、この時には、皆、諸葛亮が劉備の配下になったとこを知っていた。
そこで、今日は、南方の形勢についての軍議が行われた。
まず、意見したのは、夏侯惇であった。
「今、劉玄徳は新野城にあって、孔明も、しきりに兵馬を訓練している様子。
このまま残しておけば、今後の憂いなるやも知れません。
ここは、一気に攻め滅ぼしましょう。」
「うむ、そなたの意見はもっともである。」
「お待ちください。」
「なんだ、荀イク。」
「孔明は、他の軍師とは比べ物にならないほどの知略の持ち主です。
また、劉備に勝っても、利は少なく、負けると、損害が大きいでしょう。
ここは、もう少しお考えになってはどうでしょうか。」
「うーむ。」
「荀イク軍師、相手は小勢、奴等を倒すのは、今なのですぞ。」
「賈クよ、玄徳の軍勢は?」
「せいぜい、五千とおもわれます。」
「荀イクよ、では、夏侯惇を総大将に、于禁、李典を副将につけた兵十万で攻めるのどうだ。」
「そういう問題ではございません。」
「では、どうだというのだ!」
とうとう、夏侯惇がしびれを切らした。
「将軍は、彼らを甘く見ているというのです。」
皆、一斉に意見した者の方に振り向いた。
意見したのは、徐庶であった。
「な、なんだと・・・。」
夏侯惇は、徐庶を睨み付けていった。
「将軍は、彼らを甘く見ているというのです。
そのおごりが、敗戦を招くのです。」
「徐庶よ、孔明なるもの、どれほどの者か。」
曹操は、徐庶に向かって聞いた。
「諸葛亮孔明、天文に通じ、地理民情を悟り、六韜をそらんじ、三略を胸にたたみ、
その才、比べ物にならないほど、恐ろしいものです。」
「そなたと比べると?」
「私が、蛍であるならば、彼は月でしょう。」
「そこまで違うのか?」
「そもそも、比べるのが間違いでしょう。」
「否!いくら優れているといっても、彼も人間であろう。
人間同士比べても、そこまで差のあるものではない。
さらに、兵力は20倍であるぞ。
もし、この夏侯惇が負けたならば、
この首を自ら、丞相に献ずる。」
「・・・・・・。」
徐庶は黙り込んでしまった。
「わかった、夏侯惇、直ちに軍備を整えて、攻めるがよい。」
「ははっ。」
これで、軍議が終わったのである。
徐庶は、帰り道、心の中で、うまく行ったと呟いたのであった。
そう、彼は、夏侯惇をけしかけて、孔明に当たらせることに成功したのである。
しかも、話が、夏侯惇の首までかけてと言うことになったのであれば、心が飛び跳ねる思いであっただろう。
しかし、危険な話ではあった。
もし、負けてしまったならば・・・。
その時は、完全に親不孝になってしまうだろう。
そこまで、諸葛亮という人物を信じたのであった。
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