これはフィクションであり、まあ、原作とは何の関連もありません。
最後に安藤絵梨がよばれた。
というのも、コナンたちが安藤絵梨の存在を知らなかったため、
スケジュールの後ろに付け加えられたかたちになったのだ。
「安藤絵梨さんでしたね。」
「・・・はい。」
「昨日のあなたのスケジュールは?」
「ずーっと、厨房でした。」
「ずーっとですか?」
「はい、料理の下ごしらえなどを朝はしていましたし、
昼くらいから食器の準備をしていましたし・・・。」
「このグラスは誰のものかわかりますか?」
「・・・わかりません・・・。」
「そうですか・・・。」
「・・・あの・・・。」
「なんですか?」
「私はやってません!!本当です!!」
「ま、まだ、あなたが殺したと入ってませんよ。」
「だって、私が毒を入れたと思っているんでしょ!?」
「そんなことありませんよ・・・そういえば、あなた以外に厨房にいたのは誰です?」
「・・・大宮さんと有明さんです。」
「他には?」
「わかりません・・・。」
「わからない?」
「・・・ぐずっ・・・だ、だって・・・ひっく・・・ものすごくつかれちゃって・・・、
その・・・あの・・・厨房で・・・居眠りしちゃったんですもの・・・。」
「い、い、居眠り?」
「・・・ひっくひっく、ほんとうですぅ〜・・・信じてください・・・。」
「お願いだから、なかないで・・・な?」
「だって、わたし・・・ひっく、何もやってないのに・・・、
ぐずっ、私のこと、疑うんですもの・・・。」
「だから、あなたが犯人だなんていってないって・・・。」
「ほ、ほうとうですかぁ?」
「も、もちろん、さ、もういいから、部屋で休みなさい。」
「失礼します・・・ひっく。」
安藤絵梨は今にも泣き出しそうな顔で部屋を出ていった。
「・・・つかれたぁ〜!!」
小五郎が思わずこういったとき、
「お父さん!!!」
蘭が部屋に怒鳴り込んできた。
「な、なんだ、なにかあったのか!?」
「何があったのかじゃないでしょ!!
さっき出ていった人泣きそうだったじゃない!!
どうして、そんなに厳しく追及したの!!!」
「な、なにいってるんだ、泣きそうなのは俺のほうだよ!!」
蘭と小五郎はこんな状況にもかかわらず、口喧嘩をはじめた。
「こんなときにのんきねぇ・・・。」
園子がつぶやいた。
「あれ、園子お姉ちゃん、藍菜お姉ちゃんは?」
「少し前にでていったけど・・・トイレじゃない?」
「元直、遅いわね。」
哀がいった。
「・・・ああ。」
コナンが同調した。
元直は展望台・・・いや、監視塔にいた。
(増田潤一郎って人が来るかもしれない・・・。)
元直はこんなことを考えて、監視塔に登ったのである。
「こんなところで何してるの!?」
後ろで誰かが怒鳴った!!
元直はびっくりして後ろを向いた!!
「藍菜お姉ちゃん!?ここにいたら危ないよ!!」
「それはこっちのセリフです!!
どうして、こう勝手な行動を取るの!?」
「でも、もしかしたら、増田潤一郎って人が来るかもしれないじゃない。」
「・・・2、3日遅れて来るって言った人ね・・・。」
「うん。」
「でも、そんなことは大人に任せておけばいいの!!
それとも、あなたはもう大人だって言いたいの!?」
藍菜が叫んだ。
「藍菜お姉ちゃん・・・。」
「・・・まるで、あの人にそっくりなのよ・・・。
・・・あの人に・・・。」
その時、うつむいた藍菜の顔から1滴の液体が落ちるのを元直は見た。
「・・・・・・。」
元直も黙り込んでしまった。
どのくらいこの静寂が続いたのだろうか・・・。
みんなが疲れ果てて自分の部屋で睡眠を取っているころ、
ひとつの影が廊下を動いていた。
やがて、その影はある部屋の前でとまった。
その影の手はぎらりと鈍くひかるものを握っていた・・・。
タイムリミットまで60時間・・・。